剣道具の豆知識

はじめに

当たり前の話ですが、剣道具とは剣道を行うときに体を守る防具のことです。では、人はいつ頃から防具を身に付けるようになったのでしょうか?

剣道はその昔、戦に用いられた刀法です。また当然、身を守るための鎧の開発も盛んになります。室町時代には鎧が定着しつつあったようです。剣の修行は木刀を用いての形の練習が主だったようですが、実際に打ち合う稽古をするために上泉武蔵守信綱により袋竹刀が考案され、その後、正徳(1714年)頃に真心影流 長沼四郎左衛門がある程度痛くない防具を考案したようです。そして、宝暦(1756年)頃に、一刀流の中西忠蔵によって現在の剣道具に近い物(面・篭手・胴)が考案されたようです。また、年配の方ならご存知と思いますが、竹を革紐で綴じた胴は、すでに形の近いものが江戸時代には存在をしていたようです。

昭和20年の終戦後には日本占領軍により剣道の廃止が告げられましたが、当時の関係者の努力によって撓い競技という形に変えて剣道の心は継承されました。その時に使用された防具はフェンシングのプロテクターの様な面をかぶり、西洋胴甲の様な胴(服)を着けていました。戦前の剣道具職人は面屋・篭手屋・胴屋・胸屋・垂屋・竹屋(竹刀の材料)・竹刀屋、袋物屋といった具合にそれぞれ皆、得意分野での分業下請けでした。そして、小売店は職人からそれぞれ商品を集めてお客に販売をしていました。しかし、戦後は刺し物(面布団・篭手布団・垂布団)に関する剣道具を一手に製作して小売する職人が出現してきました。また、下請け職人から商品をまとめて仕入れる問屋も出現してきました。

現在、剣道具業界は自分の得意分野のみを製造して、その他を問屋から仕入れる小売店が増えてきています。一方で、100%問屋から仕入れて販売をする小売専門業者も多く見受けられる様になってきました。問屋の多くは海外、国内に自社の生産拠点を持ち品質管理をしながら大量生産に勤めております。そして、小売店も最近では直接海外へ買い付けに行く事があり、安く販売をするところもあります。ところが、現地生産者が余った材料で製造したものが多く、品質の一定管理ができない問題があると思います。なぜなら、外国では剣道具の修理というものは有りません。そして材料を余らす事なく全て(薄いところや傷のあるところ)を使って製品にしてしまいます。商品が完成してしまえば皮の厚みなどはチェックできませんし、生地の染色方法も試験できません。

私は販売をする業者はモラルを持って販売をしていただきたいと思いますが、購入するお客様にもある程度の常識を持ってご購入いただきたいと思います。例えば価格が安いのは業者の努力だと思いますが、値引きには限界があります。50%オフ、60%オフ・・・、これは定価の設定が間違っているのではないかと思います。仮に50万円の品物を50%引きの25万円で購入したとすれば、その価格で販売できる商品ということで、50万円の品物を50万円で購入した人とはおそらく商品に違いがあるのではないかと思います。

最後になりましたが、現在の剣道具の形(スタイル)はほぼ統一されておりますが、材料・剣道具の製造方法等が色々違います。私なりに書きしたためましたので宜しければご参考下さい。

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